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総合型選抜とは?AO入試との違いやポイントと特徴を解説

2024年08月10日 2024年08月10日

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四大予備校比較

2021年度より、大学入試に新たに「総合型選抜」という選抜方法が登場しました。

2025年度の試験にも採用されるこの総合型選抜ですが、名称が漠然としており、どのような選抜なのか、旧AO入試とは何が違うのか、いまひとつ分かっていないという方もいるのではないでしょうか。

この耳慣れない総合型選抜について理解していただくため、今回は総合型選抜の基本情報や、各選抜方法の違いなどについて解説していきます。

大学の基本的な入試形態にはどのようなものがあるの?

大学入試の答案をする様子

現在、大学入試は以下の3つの形態が基本となっています。

・一般選抜
・学校推薦型選抜
・総合型選抜

2021年度入試より大学入試制度が新しくなり、センター試験の名称は「大学入学共通テスト」に、一般入試の名称は「一般選抜」に、推薦入試は「学校推薦型選抜」となり、AO入試は「総合型選抜」に変わりました。

総合型選抜ってなに?

疑問を持った女子高生

総合型選抜とは、かつてAO入試と呼ばれていた入試制度が、2021年度の大学入試制度リニューアルに伴い、名称・中身ともに変更されたものです。

大学の「理想とする学生像」に合う受験生を選ぶための入試であり、受験生の学習意欲や目的意識などが総合的に評価されます。いわば、その大学にふさわしい人物を見つけるために、学力だけでなく人となりまでじっくり精査される制度、と考えてください。

大学が求める学生像は、各大学・学部のアドミッションポリシーに明記されています。このアドミッションポリシーに適合する受験生ほど合格しやすくなります。

つまり総合型選抜では、アドミッションポリシーの内容を適切に理解し、自分がいかにこの大学に合っているのかを、面接などを通じて的確にアピールする必要があるのです。

一般選抜との違い

一般選抜は、いわば学力重視の選抜方法です。大抵の場合、大学入学共通テストや個別学力試験の得点によって合格・不合格が決められます。

対して総合型選抜では、提出書類、面接や小論文、ディベートやプレゼンテーションなどを通じて受験生の意欲・目的や適性・能力などを探り、それを基準に合格者の選考を行います。

なお、大学によっては総合型選抜でも学力試験が課せられます。一般選抜よりも選考方法が幅広く、学力や知識、意欲や目的意識、適性や能力を総合的に審査される点が、一般選抜との違いです。

学校推薦型選抜との違い

学校推薦型選抜では、出願するにあたって出身高校からの推薦を受ける必要があります。また、高校で一定以上の成績をおさめていないと出願できないという大学が少なくありません。

一方、総合型選抜では高校からの推薦は必要ありません。出願条件は大学によりそれぞれ異なり、高校の評定平均値が求められる可能性もあります。

選考の方針にも違いがあります。学校推薦型選抜では、高校で取り組んできたことや成し遂げたことなどが重要視されるのに対し、総合型選抜では大学で何を為したいのかが主に注目されるのです。

一方、選考方法はいずれも小論文や面接などがメインです。このほか、学力テストやプレゼンテーションなどを課される場合もあります。

AO入試との違い

AO入試は、2021年度の大学入試制度変更に伴い、総合型選抜へと名称が変わっています。

アドミッションポリシーに合致する受験生を選考するという基本方針は、AO入試も総合型選抜も変わりません。しかし名称変更に伴い、評価の方法も以下のように改善されました。

・調査書等の出願書類だけでなく、(1)各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)、もしくは(2)「大学入学共通テスト」の少なくともいずれか一つの活用を必須化すること

・志願者本人の記載する資料(例:活動報告書、入学希望理由書、学修計画書等)を積極的に活用すること

出典:文部科学省

つまりAO入試に比べ、総合型選抜では基礎学力の評価や受験生からの提出書類の重要度が増している、ということになります。

さらに、AO入試の頃は出願時期が8月、合格発表時期は規定なしとされていたのに対し、総合型選抜では出願及び合格発表時期の適正化が図られています。

総合型選抜の選考方法は?

大学入試のイメージ

ここからは、総合型選抜の内容について、より具体的に解説していきます。まずは総合型選抜の選考方法です。

総合型選抜の選考方法は、1次に書類選考、2次に面接や小論文というパターンが基本です。さらに、ここに個別の学力試験や大学共通テストの受験が課せられるケースが増えています。

「総合型選抜では学力試験の対策不要」とは限らないため、注意してください。

このほか、プレゼンテーションやディベートを課す大学、各種セミナーや実験・フィールドワークに参加させてレポート提出を求める大学など、選考方法は大学によって様々です。

中には、オープンキャンパスで実施されるアクティビティやスクーリングへの参加とレポート提出が求められる大学もありますので、総合型選抜での受験を検討している場合は、極力早めに志望校の情報収集を始めましょう。

総合型選抜の出願時期は?

答案用紙と時計

総合型選抜の出願時期は9月以降、合格発表時期は11月以降です。これは、

(1)「学力の3要素」を多面的・総合的に評価するために必要な期間を考慮すること。

(2)高等学校教育や本人の学習意欲への影響等の観点から、教育上、より適切な出願時期とすること。

(3)学校推薦型選抜の出願時期も考慮し設定すること。

出典:文部科学省

これら3つの観点から、文部科学省により定められています。ただし実際の出願期限は大学により様々で、一般選抜のように決まった時期に日程が集中していないのが、総合型選抜の特徴です。

ちなみに、この出願時期には注意が必要です。大学によっては、提示されている出願時期よりも前に「エントリー」を必要とするケースがあり、その方法や時期も、大学により異なります。

例えば、出願受付開始が9月の場合、それより前の夏休み中にオープンキャンパスで開催されるセミナーや個別面談への参加を「エントリー」として扱い、出願の条件に設定している大学もあるのです。

このエントリーを逃すと出願資格を失うおそれがあるため、総合型選抜での出願を検討する際は実際の出願時期にとらわれず、夏前には志望校を絞り込んで情報収集を行うようにしましょう。

総合型選抜は併願可能?

隙間時間で勉強する女子高生

総合型選抜の併願は、受験する大学により可否が分かれます。

総合型選抜というのは「自分はこの大学に合った人間です!この大学でこういうことを学びたいです!」ということを自ら売り込むタイプの入試ですので、その性質から、専願が基本とされています。

中には併願を可とする大学・学部もありますが、志望校選びの際には注意してください。

なお、残念ながら総合型選抜に通らなかった場合は、一般選抜に挑戦可能です。

また、中には複数タイプの総合型選抜を設けている大学もあり、異なるタイプを組み合わせれば、総合型選抜に何回か挑戦できるケースがあります。

大学ホームページの入試情報欄を見ると、親切にも「最大〇回まで選考を受けられる」などと書かれていることがありますので、ぜひチェックしてみましょう。

適切な出願パターンを見極めて、チャンスを最大化することが大切です。

総合型選抜の特徴|まとめ

総合型選抜とは、2021年度の大学入試制度変更により登場した、AO入試に代わる選抜方法です。

「大学のアドミッションポリシーに合った受験生を選抜する」という目的自体はAO入試と同じですが、学力試験が導入されるケースが増えたり、出願・合格発表時期が規定されたりと、名称だけでなく内容も少々変更されています。

選抜方法は大学により様々ですが、基本は書類選考・面接・小論文です。また出願時期は9月以降ですが、これより早い時期にエントリーを要する大学もあります。

このように、総合型選抜は大学の特色が色濃く出る入試形態です。早い時期に志望校を絞り、念入りに情報収集を行うことを心がけましょう。

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