大学受験のために、英検や漢検を受験したことのある方は多いですが、数学検定を受験したことのある方は少ないのではないでしょうか?
数検は英検や漢検と比べると少しマイナーな検定で、意味ないと感じる方もいるようです。
しかし、数検を取得することで得られるメリットは多く、最近は数検の受験者数も年々増えています。
この記事では、意味ないと思われている数検のメリットをご紹介するとともに、大学受験で有利になるのか、数検の難易度や実施日・費用などの詳細についてご紹介していきます。
数学検定とは?
数学検定(実用数学技能検定)は公益財団法人日本数学検定協会によって実施されている数学や算数の能力を測定することを目的とした検定で、略して数検(すうけん)と呼ばれることが多いです。
級によって小学校の算数レベルから大学数学レベルの問題が出題され、記述式で証明や計算、作図など様々な問題で受検者の能力を測定します。
数学検定は意味ないと言われている?
数検は意味ないという言葉をたまに耳にしますが、数検が意味ないと言われているのは、その知名度の低さにあります。
内容やメリットがあまり知られていないので、数検を取っても意味ないのではないか?と思われてしまうようですね。
実は、数検は取得すると大学受験が有利になる資格で、ぜひ学生の方にチャレンジしていただきたい資格検定の1つです。
ただし最近は知名度の上昇により毎年受検者は増加を続け、現在累計の志願者数は600万人を超えており、数学の能力を試す検定としては最も一般的なものとなっています。
数学検定は海外でも実施されている
数検は日本国内だけでなくタイやカンボジア、フィリピンなど東南アジアを中心に海外でも実施されている世界規模の検定です。
また、数検に関りのある数学教育のセミナーやワークショップも世界中で行われています。
数学検定の資格をとるメリット4つ
前述の通り、数検は決して意味ない資格ではなく大学受験の時に役立つ資格です。
また数検のメリットは多く、大学受験だけでなく大学生活や就職活動においても助けになってくれる大変便利な資格検定となっています。
ここからは、数検をとるメリット4つをそれぞれご紹介していきます。
数学検定の資格をとるメリット4つ
- メリット①約500校以上の大学受験が有利になる
- メリット②実力のチェックに使える
- メリット③大学や高校の単位になる
- メリット④就職活動が有利になる
メリット①約500校以上の大学受験が有利になる
数検のメリットの1つに、全国の約500校以上の大学受験で有利になることが挙げられます。
数検は総合型選抜やAO・推薦入試を考えている方におすすめで、出願資格・出願書類の一部にしている大学や推薦入試で評価の対象にしている大学が多いです。
下に数検を持っていると大学受験が有利になる学校をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
慶應義塾大学 | AO入試で評価の対象になる |
---|---|
早稲田大学 | AO・推薦で評価の対象になる |
立教大学 | 自由選抜試験の出願資格の一部 |
中央大学 | 推薦入試の出願資格の一部 |
明治大学 | 推薦・AOで評価の対象になる |
法政大学 | 推薦・AO入試で評価の対象になる |
国士館大学 | AO入試で出願資格の一部 |
津田塾大学 | AO入試の出願書類の一部として評価の対象になる |
東京農工大学 | 入試・推薦の出願書類の一部として評価の対象になる |
常盤大学 | 推薦・AO入試で評価の対象になる(2級以上) |
東京経済大学 | 出願資格の一部 |
千葉大学 | 出願書類の一部として評価の対象になる |
もっと詳しく知りたい方はこちら:実用数学技能検定取得者の入試における活用校一覧(大学・短期大学・専門学校)
文系志望には数学検定は意味ない?
文系の学部を受験しようと考えている方の中には、数検は理系で有利になる資格だから意味ないと考えている方も多いのではないでしょうか?
数検は、文系の経済学部や社会学部、教育学部の入試で評価の対象になることも多いため、決して意味ない資格ではありません。
特に経済学部など数字を扱う学部は、受験だけでなく受験後も役立つ資格となっています。
早稲田大学など難関大学も評価の対象にしている
数検を評価の対象としている大学の中には、早稲田大学や慶應義塾大学、明治大学、千葉大学などの難関大学もあります。
最近は首都圏の大学の倍率が増加傾向にあり難関大学の入学がさらに難しくなっているので、推薦や総合型選抜を利用して入試を切り抜けようとする受験生も増えてきているようです。
どんどん難しくなる大学受験を少しでも有利に進めるためにも、難関大学を目指している方は数検を取得してみてはいかがでしょうか。
メリット②実力のチェックに使える
純粋に自分の実力を測るものとして使うということも数検のメリットの1つです。
高校3年生に比べて時間に余裕がある1・2年生のうちに、それまで高校で勉強してきた範囲の復習としてトライしてみるのはいいでしょう。
数学検定に出題される問題は基礎的なものばかりで、かつ記述式の検定なので、自分が何をどの程度覚えているかがしっかりと分かります。
また、数検のために勉強するだけでも習ったことの復習になるので、高1生や高2生には数検の受検はオススメです。
メリット③大学や高校の単位になる
数検は大学受験の後にも役立つ資格です。
全国440校以上の大学や専門学校・高等学校で、数検の一定以上の級を取得していると単位として認定する単位認定制度が導入されています。
下に、単位認定制度を実施している学校の一部を表にまとめました。
東京工芸大学 | 準1級を取得すると2単位、1級を取得すると6単位増加 |
---|---|
関東学院大学 | 1級を取得すると2科目4単位増加 |
成蹊大学 | 2級を取得すると2単位増加 |
小山工業高等専門学校 | 準1級を取得すると1単位、1級を取得すると2単位増加 |
機構呉工業高等専門学校 | 準2級以上を取得すると1~4単位増加 |
高知工業高等専門学校 | 準1級を取得すると1単位、1級を取得すると2単位増加 |
北海道枝幸高等学校 | 準2級以上を取得すると2単位増加 |
東京荻窪高等学校 | 3級以上を取得すると1~4単位増加 |
東京都立八王子拓真高等学校 | 3級を取得すると1単位、準2級を取得すると2単位増加 |
岡山県立岡山御津高等学校 | 準2級以上を取得すると1~2単位増加 |
もっと詳しく知りたい方はこちら:実用数学技能検定 単位認定実施校一覧
メリット④就職活動が有利になる
数検を取得すると、就職活動でも有利になるというメリットもあります。
最近は企業への適正を知るために採用選考にSPI試験を組み込んでいる会社も多く、SPI試験の結果で選考から外される就活生も少なくありません。
SPI試験は言語分野と非言語分野の2つに分かれていますが、数検準2級は非言語分野の出題範囲の約74%以上、数検3級は約53%以上も共通しています。
数検の勉強をすることは、SPI試験の対策にもなるということです。
数学検定の級・難易度・実施日
ここまで数学検定の資格をとると大学受験などで役に立つことをご紹介してきましたが、ここからは数検の級や合格率、実施日についてご紹介していきます。
数検の級には11級から1級まであり、1級から5級までが「数学検定」、6級から11級までが「算数検定」となります。
数検は1次試験と2次試験に分かれており、1次試験では計算技能を、2次試験では数理応用技能を測定し、試験時間は1次試験が50分、2次試験は級によって異なりますが約60~120分程度です。
下に2023年度の数学検定のデータを参照に、級と試験範囲、難易度を表にまとめました。
級数 | 試験範囲 | 合格率 |
---|---|---|
1級 | 大学・一般程度 | 8.5% |
準1級 | 高校3年程度 | 20.9% |
2級 | 高校2年程度 | 32.3% |
準2級 | 高校1年程度 | 41.8% |
3級 | 中学校3年程度 | 67.1% |
4級 | 中学校2年程度 | 67.6% |
5級 | 中学校1年程度 | 69.3% |
数学検定は得点率約60~70%で合格できる
数検の合格の基準は、得点率が1次試験で約70%、2次試験で約60%を取れば合格です。
また、もし1次試験もしくは2次試験のみ合格したという方は次の受検では合格した方の試験が免除され、検定料も1,000円引きとなります。
数学検定1級は約12人に1人しか受からない
数検は級が上がるごとに合格率は下がり、1級では8.5%という低い数字が見られます。
準1級でも20.9%、2級でも32.3%とまだまだ合格率は低く、準2級になってやっと半数近くの受検者が合格するような状況です。
ただし、数検の問題は必ずしも難問・奇問揃いというわけではなく、むしろ基礎的な問題がしっかりと解ければ合格点は十分に狙えるようになっています。
おすすめは準2級から!
先ほどご紹介しましたが、大学受験で評価される数検は準2級からが多いです。
準2級の合格率は41.8%と少し難しい程度なので、まずは準2級合格を目指し、その後に2級⇒準1級⇒1級と級を上げていくのがおすすめです。
数学検定は1年に20回受けられる
数学検定は個人受検は年に3回、団体受検は年に17回実施されており、具体的な日程はホームページに掲載されていますのでぜひそちらをご覧ください。
高校や塾・予備校で団体受検を実施している場合は多いので、高校や塾・予備校の掲示板に数検の張り紙がされてないかといったことや先生に聞いてみたりして確認すると良いでしょう。
また、数検はコンビニ・郵送・インターネットの3つの方法で申し込むことができますが、1番手軽なのはインターネットなので、インターネット申し込みがおすすめです。
数検の公式ホームページはこちら:「数学検定 算数検定」
数学検定のメリットについてのまとめ
- 数検が意味ないと言われている原因は知名度の低さ
- 数検は大学受験や就職活動に役立つ
- 数検は得点率約60~70%
- 数検は1年に20回受けられる
この記事では、数学検定のメリットや級・難易度・実施日などについてご紹介してきました。
数検は意味ないと言われていますが、大学受験で役に立つので学生におすすめの資格検定で、大学受験だけでなく、受験後の大学生活や就職活動でもメリットが多くあります。
準2級から使えるところが多いので、まずは準2級を目指してみて、2級⇒準1級⇒1級と進んでみてはいかがでしょうか?
自分の学力を知るという目的でも使える検定なので、力試しに受けてみるのもおすすめです。