国際教養大学は秋田県秋田市にキャンパスを持つ公立大学で、2004年に開学しました。教育の充実度や国際性が全国的に高く評価されている大学で、偏差値も高いと評判です。
しかし比較的新しい大学であり、一般的な知名度もさほど高いわけではないことから、「国際教養大学の偏差値はなぜこんなにも高いのか?」と疑問に思う声も聞かれます。
今回はこの「なぜ」にお答えすべく、国際教養大学について、基本情報や偏差値なども含めて解説していきます。
国際教養大学の基本情報
まずは、国際教養大学の基本的な情報を以下の表にまとめます。
大学名 | 公立大学法人 国際教養大学 |
区分 | 公立大学 |
公式サイト | https://web.aiu.ac.jp/ |
住所・アクセス | 〒010-1292 秋田県秋田市雄和椿川字奥椿岱 JR奥羽本線和田駅からバスで約15分 |
学部 | 国際教養学部 |
学生数 | 計844名(男子281名、女子563名) |
出典:国際教養大学公式サイト、パスナビ
国際教養大学は、英語名であるAkita International Universityの頭文字を取ってAIUという略称でも親しまれています。
国際教養大学の入試形態と難易度
国際教養大学では、多様な可能性を秘めた学生を迎え入れるために、16種類もの選抜方法を設けています。選抜方法を複数組み合わせれば、最大で6回まで選抜を受けることが可能です。
そのうち、一般選抜試験に該当するのは3日程です。日程別の偏差値や倍率を以下の表にまとめます。
日程 | 偏差値 | 共通テスト得点率 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
A日程 | 67.5 | 76% | 3.0倍 |
B日程 | 70.0 | 88% | 8.0倍 |
C日程 | – | 97% | 36.6倍 |
公立大学である国際教養大学の一般選抜では、大学入学共通テストと個別学力試験で選抜を行います。うち、C日程の個別学力試験は英語小論文のみのため、偏差値が出ていません。
ご覧のとおり、どの日程も難易度が高いようですが、特に共通テストの科目数が減るB日程とC日程の偏差値や得点率は、非常にハイレベルとなっています。
なぜ国際教養大学の偏差値はこんなにも高いのか?
なぜここまで国際教養大学の偏差値が高くなっているのでしょうか。考えられる原因としては、以下の2つの特徴が挙げられます。
特殊な入試形態
国際教養大学は公立大学ですが、独自の入試日程を設けているため、他の一般的な国公立大学との併願が可能な珍しい大学です。そのためか、難関国公立大学の併願校として候補に挙がりやすくなっています。
また、国際教養大学の個別学力試験は国語と英語の2教科のみです。受験科目数が少なくなるほど、偏差値が高く出やすい傾向があります。
なおこの個別学力試験ですが、国語は読解型小論文方式、英語はエッセーの執筆で、特に後者は英語での文章作成に慣れている人でないと相当難しいようです。
これに加え、共通テストの英語科目において英語系資格保持者への特例措置を行っていること、大学自体が英語を活用した教育に特化していることから、英語が得意な人が集まりやすい傾向にあります。
教科数が多くはないうえに、難関国公立にも挑める学力を持つ人や、英語で点を取りやすい人が集まった結果として、個別学力試験の偏差値が高くなっているのでしょう。
なぜ国際教養大学の偏差値が高いのか、その理由の一端は、国際教養大学の入試の形態にあると考えられます。
志望者数が非常に多い
国際教養大学の偏差値が高いもうひとつの理由としては、倍率の高さ、つまり受験者数の多さが考えられます。
国際教養大学は、募集定員や合格者数が少ない割に、志願者数や受験者数が多いのです。2021年一般選抜において、A日程およびB日程の合計募集定員が100名に満たないのに対し、受験者数は計700名を超えています。
B日程においては共通テストが3教科のみのため、「国公立なのに受験しやすい」という点も人を集めている理由でしょう。
さらに、共通テストは英語1教科のみ、個別学力試験も英語小論文のみのC日程においては、募集定員5名の狭き門に183名もの受験生が集まりました。当然、英語に自信のある人ばかりが集まったのでしょうから、ボーダー得点率の高さにも頷けます。
必ずしも高倍率=高偏差値となるわけではありません。しかしハイレベルな受験者の数が増えれば、それに従い合格の難易度も上がるものです。
国際教養大学がなぜ高偏差値を誇っているのか、それには大学の人気の高さも影響しているのでしょう。
志望者を多く集める国際教養大学の魅力とは?
なぜ国際教養大学は偏差値が高いのか、その理由のひとつとして、先ほど国際教養大学の人気を挙げました。では、国際教養大学はなぜそこまでの人気を集めているのでしょうか。
実は、前述の入試形態や受験しやすさといった理由以外にも、国際教養大学にはさまざまな魅力があります。ここでは、国際教養大学の「すごいところ」の中でも、代表的なものを3点ご紹介します。
授業が全て英語で行われる
国際教養大学は、全ての授業が英語で行われるという、非常に際立った特徴を持つ大学です。
英語を学ぶための大学ではなく、英語で考え英語で学ぶための大学として、英語を使って知識を習得し、自分の考えを発信していく術を教えています。
もちろん、新入生全員が英語を意のままに操れるとは限りません。そのため、まずは入学後にレベル別の英語集中プログラム(EAP)でアカデミック・イングリッシュを学び、書く・読む・聞く・話すの4技能をバランスよく伸ばします。
EAPを修了すれば、英語で講義を聴き、資料を読み、意見を述べ、討論し、レポートなどを作成するための英語能力が身に付くというわけです。
その後、基礎科目や専門科目を英語で学ぶことで、世界を舞台に活動し発信していく力を養っていくというのが、国際教養大学ならではの学びです。
徹底した少人数教育
募集人数が少ないことからも分かるように、国際教養大学は少人数教育を徹底しています。これは2004年の開学時からの一貫した方針です。
1科目あたりの学生数は平均わずか19名ほどで、学生数が20人に満たない授業の割合は64%にものぼります。これにより教員と学生の対話が増え、より活発な双方向授業が可能となります。
学生に対する教員の比率が高く、授業外でも密な支援を受けられるというのも魅力のひとつです。国際教養大学ではアカデミック・アドバイジング・システムを設けており、個々の学生に専任教員がアドバイザーとして割り当てられています。
履修や留学、進路に関する相談など、大学生活を送るうえで直面する様々な悩みに、特定の教員が親身になってアドバイスをしてくれるというのは、少人数大学ならではの心強いシステムです。
1年間の留学が必須
国際教養大学では、学生に1年間の海外留学を義務付けています。
一部の成績優秀者だけでなく、全ての学生に留学機会が与えられており、「なぜ国際教養大学を選んだのか」という問いにこの留学制度を挙げる学生も少なくないようです。
国際教養大学の留学は、ただの語学留学にとどまりません。提携先の海外大学にて、実際に専門科目を履修しながら留学先の言語も学ぶ留学です。
提携大学の数は多く、50ヵ国200大学から留学先を選べます。1つの提携大学に派遣される学生の数は限られるため、留学先で日本人学生同士が固まってしまうことはありません。授業料は相互免除のため、追加で高額な学費を払う必要もありません。
また、国際教養大学はキャンパス内でも国際交流が可能な大学です。留学生が多く、入学後に義務付けられる1年間の寮生活では、留学生がルームメイトになることもあります。この多文化共生の環境も、国際教養大学の人気の理由のひとつです。
国際教養大学の偏差値|まとめ
国際教養大学は偏差値、共通テスト得点率、倍率ともに高い大学です。「なぜここまで偏差値が高いのか」という疑問の声も聞かれますが、これには、
・独自の入試日程で他の国公立との併願が可能
・教科数の少なさおよび英語に特化した校風・入試問題
・募集定員に対する受験者数の多さ
などが影響していると考えられます。
また、なぜ国際教養大学がこれほどまでに人気なのかについては、
・英語で行われる授業
・徹底した少人数教育
・1年間の留学義務
といった、国際教養大学ならではの点が魅力的に映るからでしょう。
この記事を読んで国際教養大学への興味が増したという方は、公式ホームページでオンラインオープンキャンパスのアーカイブを観てみることをおすすめします。